ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

地蜘蛛に償う

今週のお題「夏休みの宿題」

夏休みの宿題で、もう一つ思い出すのが科学研究である。

あれは、中3の夏休みだった。
きっかけは忘れたが、アリジゴクの生態を研究することにした。
アリジゴクの生態の何を研究したのかは、今ではもう覚えていない。
記憶にあるのは、アリジゴクにせっせと餌をやったことである。

餌は、地蜘蛛。
当時、地蜘蛛は家の石垣や、木の根っこにたくさんいた。
白い管のような巣から取り出しては、アリジゴクに与えた。
アリジゴクが地蜘蛛を捉える様子が面白くて、夢中になった。
(根暗な中学生だった、今にして思えば)
その科学研究は、校内で佳作入りしたレベルのものだったと思う。
(中学生の課題としては実に幼稚だ、今にして思えば)

それにしても、大量の地蜘蛛がアリジゴクの犠牲になった。
我が家の周りに生息する地蜘蛛はもう一匹もいないというほどに、アリジゴクの犠牲になってしまった。

それから何年も経って、無駄に地蜘蛛を殺したことを悔いるようになった。
いつしかわたしは、蜘蛛を殺せないのはもちろん、蜘蛛の巣を掃えなくなった。

蜘蛛が丹精込めて作った巣を壊すなんて考えられない。
蜘蛛が部屋の中を這っているのを見たら、避けて通る。
アジサイの葉っぱに付いて家に入ってきたら、やさしくつまんで窓から放り投げる。
残酷にも夫が玄関で蜘蛛を踏み潰しているのを目撃したら、夫を叱り飛ばす。

というわけで、我が家は至る所に蜘蛛の巣が張っている。
決して掃除嫌いだからではない。
わたしなりの地蜘蛛への償いである。