ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★犬の糞より深刻


日曜日の夜、町内会の総会があった。
我が家は副会長をしていることもあり、夫婦で出席した。

総会が終わると、2000円の仕出し弁当とお酒で和やかに親睦会が始まる。
気のきく人は自分ちの漬物を持参して、皆さんにお裾分けしたりする。

昨夜は我が家の5軒先に住んでいるTさんが、ツクシのつくだ煮を持って来られた。

Tさんはわたしより少し年上の、お喋りで、陽気な女性。
10数年前に離婚して実家に戻り、今は一人で生活している。
Tさんの家は、家の外も中もゴミ袋がうずたかく積まれている、文字通りのゴミ屋敷。
玄関を開けると、そこは、靴が一足、脱げるスペースがあるだけ。
玄関から見える台所も、足の踏み場もないくらい散らかっている。
炊事をしている気配はなさそうだ。

そのTさん手作りのつくだ煮がわたしにも回ってきた。
しかし、どうにも、箸が動かない。
男性陣はサッサと自分のお弁当に取り分けている。
夫など、これは珍しいと言って、人の倍くらい、取り分けている。
しかし、女性陣は皆、取るのをためらっている。
でも、誰も何も言わない。
それでわたしが勇気を奮い起こし、皆を代表して口を開いた。

  どこで採ったん?もしかして、川土手?あそこ、犬の散歩道よねぇ。

Tさんは、ケロリとした表情で答える。
  
  大丈夫よ〜。わたしが採った辺りは誰も犬は散歩させていないよぉ。

ほんとかしら。
半信半疑である。
しかし、犬の糞よりもっと深刻な問題がある。
これは、さすがのわたしも一瞬、訊くのを躊躇したのだが

  これ、どこで作ったん?あの台所じゃ、料理できないでしょう?

と言ってしまった。
女性陣が一斉に吹き出す。

  大丈夫よ、うちの台所じゃないよ。隣の家の台所を借りたよね。

そのセリフを聞いて、ツクシを一本だけつまんで自分のお弁当に移した。