ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★エコナの油

結婚後、嫁いだ娘が実家を訪れると、帰る時には実家にある頂き物など持ち帰ることが多い。
母親は少しでも娘の生活の足しになればと思い、何でも気前よく娘に与える。
もはや、施すことが快感になっているのではと思われるほどに。

わたしも例外ではない。
家にある物は何でも台湾へ持って帰りなさいの気持ちになる。
スーツケースに入るだけ入れて持って帰りなさいと、惜しみなく与えてしまう。
母もそうだったのだろうと、娘を嫁がせてからやっと母の気持ちがわかるようになった。

昨日、実家を訪れた。
帰り際、母が、「ちょっと待って」と言って、ごそごそと何かを取りだした。
いつものことではある。
帰る時にはいつも嬉しげに家にある物を何かしら手渡すのだ。
しかし、今回は、少し勝手が違った。
遠慮がちに、「エコナは要らん?」と訊いたのだ。
見ると、あのエコナのクッキングオイルが2本、レジ袋に入っている。

一瞬、わたしも返事に窮した。
貰って帰っても使いたくない、でも、要らないって言ったら、母は嫌な気分になるだろうなぁ。

以前も何回かエコナのクッキングオイルを喜んで貰って帰っていたのだ。
発がん性の懸念があるとわかったからと、むげに「要らんよ」とは言えないよなぁ。
母も、問題が発覚したからこそ、わざわざ訊いたのだ。
母の気持ちも思いやらねば…。
わたしは、「気にすることないよね〜」と言いながら、ニコニコしながら受け取った。

帰りの車の中で思った。
わたしの娘は、要らない物は要らない、とはっきり言う性格だ。
もし、娘がわたしの立場だったら、絶対に断っていただろうなぁ。
「発がん性の怖れがあるのに、口に入れられないよ」って言うだろうなぁ。
やっぱり、わたしは心優しき娘なんだ、と自分に惚れぼれしながらアクセルを踏んだ。