ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

名前は知らない

ウォーキング中にすれ違うと、普通は軽く会釈して挨拶するだけだが、何度も出会ううちに「暑いですね」「涼しくなりましたね」とお天気の話などしたりするようになる。
しかし、言葉を交わすからといって、別に名前を訊くわけでもなく、どこに住んでいるのか尋ねるわけでもない。
そんな人たちのひとりにAさんがいた。
若い頃は超美人だったのをうかがわせる、60代後半の、とても痩せた女性。
太り気味のおばさんが多い中で、彼女は特別だった。

初めてウォーキングしているAさんを見たのが去年の11月頃だった。
この冬わたしはウォーキングは休止状態で、春になってウォーキングを再開したのだが、久しぶりに彼女に会ったとき、少し話した。
Aさん、冬の間も雨が降ろうが風が吹こうが、一日も欠かさずウォーキングしたと言う。
痩せているのに、案外、タフで根性があるんだなぁと感心した。
そして、暑くなってからも、彼女の姿をしばしば見ていた。
お盆が近付いた頃だったか、彼女とすれ違ったとき、ずいぶん疲れているように見えた。
「ほんと暑いよねぇ」としんどそうに言われたのが最後だった。
ずっと会うこともなく、ほぼ1ヶ月が過ぎた。

昨日の夕方、スーパーの入り口でバッタリAさんに会った。
懐かしさもあり、立ち話に及んだ。
意外にもAさんは話好きだった。

  今、ウォーキングしてないんよ。
  すごい暑かったのに歩きに出たもんだから気分が悪くなってね。
  病院へ行ったら血圧が上がってて、今、血圧の薬、飲んでるんよ。 
  おねえさん(わたしのこと)、痩せたんじゃない?
  ますます顎が細くなったじゃない。
  年取って、わたしみたいに痩せてたら駄目よ。
  みすぼらしいでしょ。
  (大量の除湿剤を指して)これね、すごいでしょ。
  安いから朝も買いに来たけど、また買いに来て、今帰るとこ。
  歩くのはスーパーに来るときくらいになったよ。

いつまでもAさんのお喋りは止まらなかった。
名前も知らない人だけど、同じウォーキング愛好者である。
元気そうな姿を見てホッとした。