ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

野良猫騒動(1)

金曜日の午前中のことである。
猫好きのご近所の奥さん、Eさんが、彼女の家の対面にある恵比須神社に住み着いていた野良の子猫を連れて我が家に来られた。
これから寒くなるし、可哀想だから飼ってやってくれないかと言う。
Eさん宅には既に4匹の猫がいるから飼えないとのこと。
見ると、サバトラの、目の大きな小猫だ。
この春、生まれた猫なんだろう。
名前は小さいから「チーちゃん」。
もう二度と猫は飼わないと決めていた決意が揺らぐ。
でも、野良猫なので、餌を貰っているEさん以外の人間には警戒心が強い。
Eさんが抱いていた猫を下ろすと、猫は全速力で仏間へ走って逃げた。
猫は開いていた仏壇に一目散に駆け上り、わたし達が近付くと、蝋燭と線香立てをひっくり返して、走り去った。
蝋燭は折れ、線香立てから線香が飛び出し、粉々になった。
「恵比寿さんに住んでるくらいだから、やっぱり仏壇が好きなんだねぇ」と、あくまで暢気なEさん。

Eさんは一旦立ち去ると、家から猫缶とトイレ砂を持って来られた。
すっかり我が家が飼うことに決まったような成り行きだ。
しばらくお喋りしてからEさんが帰られると、先ずはトイレの準備。
以前、使っていた猫トイレを取りに物置へ行き、いつでもトイレが使えるように整える。
それから、猫探しに取りかかった。

「チーちゃん、チーちゃん、どこに行ったん」と言って、家中くまなく探す。
壁と家具の隙間なども懐中電灯で照らして探す。
でも、見つからない。
家中の戸も窓も全部閉まっているのだから、出口はない。
猫トイレを取りに行くとき、勝手口のドアを開けた瞬間に、サッと走って出たのだろう、と思うしかなかった。