ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

野良猫騒動(4)

丁度その時、夫が帰宅した。
早速、夫と二人で座卓を移動し、畳を上げ、荒板を外して、子猫を呼んだ。
だが、やって来る気配はない。
勝手口からEさんがやって来て、餌皿を手に、チーちゃん、チーちゃんと呼んだが、駄目だった。
離れ過ぎていて、餌の匂いが届かないのだろうと思った。

和室から救助できないとなれば、もう隙間の穴を大きくするしか方法はない。
夫は、ブロックとセメントでできた仕切り壁を金鎚で壊し始めた。
ところが、そのゴツン、ゴツンという大きな音に驚いて、猫は、和室の方へ飛んで行ったようだ。
和室で床下を覗き込んでいたEさんが、猫を捕まえた。

結局、チーちゃんは我が家で、もう一泊することになった。
もう家から出した方がいいのではないかと思ったが、もう少し様子を見てみようと言い張るEさんに押し切られた。
Eさんは、我が家に置いておけば、少しずつ、家にも人間にも慣れるから、と言って帰っていった。
わたしもまた、まだ望みを捨てていなかった。
餌をやり、声をかけてやっていれば、そのうち懐くかもしれないと思っていた。

しかし、子猫は相変わらず、わたし達を警戒し続けた。
餌も食べようとせず、掃き出し窓のカーテンの中にずっと隠れていた。
外に出たいのだろう、時々、思い出したように、ガラス窓を勢いよく登る。
そして、ドスンと大きな音を立てて落ちる。
その度に、わたしは心臓が縮まるような思いがする。
猫も憐れだが、わたしも血圧が上がってしまいそう。
ともかく、その夜は、猫を階下に残し、わたし達は二階へ上がった。

翌日早朝、「下で何かカタカタ音がするぞ。猫じゃないか」という夫の声で起こされた。
寝ぼけまなこで時計を見ると、まだ5時半。
睡眠を中断されたのに腹が立ち、起き出すどころか再び眠りに落ちた。
そして、1時間後、わたしは階下に下りて行った。