ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

都合のいい耳

今週のお題ゴールデンウィーク


母娘3人旅行(1)

4月30日、実家を訪れる。
母以外、皆、外出中だった。
姉は既に来ていた。

わたしが部屋に入るやいなや、姉が興奮気味にわたしに言った。
1日から弟夫婦が次女夫婦と孫を連れて2泊3日の旅行に出るのだと。
ヘェ〜〜〜と感心しているわたしに、姉は小声で言った。
母を連れてどこかへ一泊旅行しないかと。
姉は、わたしが断るかもしれないと思い、母に聞こえないように声を落としたのだ。
先ずは妹の都合を訊いてみなければならない。
急なことなので返事に窮したが、どうせゴールデンウィークだから空いている旅館はないだろうと思って、「いいけどぉ」と答えた。
その時、すかさず母が言った。
「そうよ、そうよ、わたし等もどっか旅行に行こうや」。

わたしも姉も仰天した。
あんなに小さな声なのに母に聞こえた?
耳が遠くなったと嘆き、補聴器は買っても面倒だからと付けない人に、あの耳打ちが聞こえた?

母が席を外したとき、姉が言った。
「本当にお母さん、耳が遠いんかね?
 あんな小さい声が聞こえたなんて信じられんよ」。
わたしが言った。
「自分に都合のええ話はなんぼでも聞こえるんじゃないん」。

ホント相変わらず調子いいよねぇと娘達に憎まれ口をたたかれながら、母娘3人の温泉行きが決定した。
探してみたら、山陰の温泉地に空き部屋が一つだけ残っている旅館があったのだ。

5月2日、一緒に付いて来たがる夫を諦めさせ、母娘3人の旅に出た。