残飯係り
母娘3人旅行(2)
温泉旅行といえば夜の豪勢な料理である。
普段、粗食に慣れている胃腸には、あの食事量は負担である。
かと言って、残すことができない貧乏性。
ましてや母は高齢なので、半分も食べられない。
姉妹が手伝って食べることになるだろう。
旅行が決まって先ずわたしの脳裏を掠めたのがそれだった。
行きの車の中で姉が言った。
「今日はね、お昼は早めに食べるよ。
麺類かなんかを軽〜くね。
夜の食事につかえると困るからね。
おやつも食べずに夜の食事に備えるよ〜〜〜。
なにしろ、お母さんの分を私とユリとで食べてあげんといけんからね」。
考えることはいっしょである。
さすが姉妹だ。
お昼は12時に単品だけで軽く済ませた。
間食したのは旅館に用意してあったお煎餅一枚だけ。
温泉から出ると、さすがに空腹を覚えた。
6時半から待望の夕食が始まる。
次から次へとご馳走が運び込まれる。
母の残した分も姉妹が手伝って食べる。
それが拙かった。
最後に出たカレイのから揚げは、骨煎餅はもちろん、身の方も食べられなかった。
やはり、夫を連れて来ておくべきだった。