リセット
話は突然に持ち上がった。
先月、義弟の葬儀に東京へ行った時、夫の姪が言った。
「Jくんがワシントンに居る間に、叔父さんたち、行ってみない?」。
聞けば、来年には夫のJくんが帰国するらしい。
心が動いた。
チャンスは今年しかない。
ワシントン、行ってみたい。
ついでにニューヨークも、ボストンも。
なのに、夫はさほど気が進まない様子。
あまり気乗りしない夫をけしかけ、ともかく、最も休暇を取りやすい6月に行くことになった。
そして、昨日、やっとチケットの予約をした。
格安チケットなので、予約後、24時間以内に入金しないと確約にならない。
入金期限は今日の13時50分である。
今朝、朝ご飯を食べながら、夫が言った。
「やっぱり、行くんか?」。
驚いて、返す。
「ハァ〜〜〜???どういう意味?」。
聞けば、旅行を予定している期間に、外したくない会議があるとのこと。
それで、実はまだ迷っていると。
わたしは、腹が立った。
何時間もネット検索し、旅行代理店に足を運び、やっと一番安いチケットの予約にまでこぎつけたのだ。
あなたが居ないからって会議がどうってこと、ないじゃないっ!
13時50分が期限なら、お昼ご飯を食べに帰ったときにはっきりさせよう、と言って出かけて行った。
しかし、わたしの気持ちは既にリセットされてしまった。
この旅行はキャンセルだ。
男でも、一旦、嫌いになったら、気持ちは戻らない。
一旦、行く気が失せたら、もう、二度とその気にはなれない。
それがわたしだ。