ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

愛が深すぎる

父親というのは哀しいもんだ。
5月1日のことである。

その日は菩提寺の行事があり、読経と説教の後、2千円の折りと缶ビール1本で親睦をはかる予定だった。
ところが、お上人さんの体調が思わしくなく、読経がすむと直ぐに散会となり夫はその折りを持って帰ってきた。
わたし達3人は、隣のおじさんに貰った大量のネギを処分するため、ネギ焼きをして食べていた。

夫は、一緒に食べようと、折りをテーブルに広げた。
珍しげに婿殿が写真を撮る。
台湾ではこんな容器に入った料理というのは見る機会がない。

4人がそれをつついて食べることになった。
夫が娘に言う。
「△子、いなり寿司、食べんさい。台湾じゃ、なかなか食べられんじゃろぅ?」。
娘が食べようとしないので、また、夫が同じことを言う。
「△子、いなり寿司、食べんさい」。
それでも娘はいなり寿司に箸を伸ばさない。
再び、夫が同じことを繰り返す。
すると、娘が言った。。
「わたしにばっかり言わずに△△にも勧めてーや!」と。
婿殿を気遣ったのだろうか。
夫は驚き、気まずそうに言った。
「△△は食べんのかと思った」。
即座に娘が答える。
「△△も好きよねっ!」
ますます、夫の立場がなくなる。
意気消沈する夫。

わたしは二人の言い合いを横目に黙々と巻き寿司を口にした。
婿殿は満足気にうなぎの蒲焼を食べていた。