ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

台北保姆記(5)

台北滞在も10日を過ぎると、帰国するのを心待ちするようになる。
孫はたまらなく可愛いし、一緒に遊ぶのも楽しく飽きることもない。
でも、毎日の気苦労な買い物、能率の悪い台所での三度三度の食事の準備と後片づけは存外に疲れるもの。
だんだん、マイペースで過ごせる我が家が恋しくなる。

広島空港のアシアナ航空機事故により欠航が続いたのがその頃である。
帰る頃には正常運航に戻るだろうと高を括っていたら、お天気次第で欠航になるのが普通の状況になっているのを知った。

段々、心配になって来た。
予定日に帰れるのだろうか。
これ以上、台湾に留まりたくはない。
早く帰りたい。

そうこう思っている内に、今度は台北市を震度4の地震が襲った。
震度4と言えば東日本では珍しくないのだろうが、中国地方は地震の少ない所である。
震度4を超える地震など滅多にない。
怖い。
しかも、娘たちが住んでいるのはマンションの7階である。
揺れた。
天井を見上げるとシャンデリアが大きく弧を描いている。
ガスが点いていないのを確認し、脱出用にドアを開け、娘、孫と食卓の下に身を潜めた。
余震も2度来た。
一刻も早く台北を脱出せねば、と焦った。

飛行機が飛ぶかどうか気になり始めてからは毎日、広島空港のサイトにアクセスし、フライト情報をチェックした。
航空会社にも娘に何度か問い合わせてもらった。

雨天のせいで欠航が続いていたが、幸運にも帰国の2日前から晴天に変わった。
お蔭で予定日に無事に帰って来られた。
日頃の行いの良さがこういうときに表れるのだろう。
(どんな顔して言ってるんだ?)