★禿が好き
禿が好き。
わたしではない。
絲山秋子が、である。
彼女のエッセイ「絲的メイソウ」を読んで知った。
その中の「禿礼賛」は実に説得力がある。
興味のある方は一読を。
わたしも禿が嫌いではない。
父が薄毛だった。
薄毛ゆえに父は、37歳の時に産まれた弟の小学校の参観日に嫌な思いをしたそうだ。
父はその時まだ43歳だったのに、
「おじいちゃんですか?」
と、他の保護者から声をかけられた。
あれ以来、父は弟の学校行事には行かなくなった。
その弟も50になった。
ところが、髪の毛はフサフサである。
父から禿の遺伝子をもらわなかったと喜んでいる。
思えば祖父も、65歳で亡くなるまで豊かな髪を保持していた。
フサフサのロマンスグレイだった。
つまり、フサフサ、禿、フサフサ、なのである。
弟の息子は今、高校2年生。
隔世遺伝を心配している。
弟からも禿ない内に早く結婚しろよ!と発破をかけられている。
甥もその気でいる。
でも、甥っこよ、焦ることはない。
世の中には絲山秋子はたくさん居ると思うよ。