ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★シズコさんはいないか 


佐野洋子さんが母親のことを書いた「シズコさん」を読んだ。
4月25日に発行され、6月25日には既に6刷まで増刷されている。
地味な本だが、よく売れている。
読者は間違いなく、ほぼ100%、30代以上の女性だろう。

口にするのは憚られるので大きな声にはならないが、母親を嫌っている女性は一定数いる。
嫌いとまで行かないが、母親との間に葛藤があるという娘はけっこう多い。

それでも、佐野洋子さんほどズケズケと母親への憎悪を語った人を知らない。
ここまで飾らず、赤裸々に母親との確執を書いた本を読んだことがない。

予想していた以上に衝撃的だった。
時に愕然とし、時に笑い、時にしんみりとなった。

本を読みながら、自分の母に対する屈折した感情に正当性を探した。
本を読みながら、自分が娘にしてしまった嫌なことの一つひとつが浮かんできた。
わたしの中にシズコさんはいないか、と何度も問うた。

普段なら夫にも読むように勧めるが、さすがにこの本だけはその気にならなかった。
どうせ男の夫にはこの母娘は特殊だの一言で片付けられるのはわかっていたから。