★謙虚な女神
わたしが女神に見えたはずのSさんの話の続きである。
昨日は、サークルの親睦会があった。
Sさんに会うのは2週間ぶりである。
中国語入力ソフトを使いこなしていらっしゃるかどうか気になっていたので、わたしはSさんに会うのを密かに楽しみにしていた。
会場に入ると、既にSさんは着席されていた。
わたしは友達のTさんと一緒に、Sさんと同じテーブルについた。
Sさんは、Tさんを見ながら満面笑顔で
「なんと、ありゃあ、中国語がうまいこと書けるよぉ〜」
と言った。Tさんは
「あ、そう。それはよかったじゃないですか」
などと調子のいいこと言って、適当に合わせている。
オイオイオイ、ソフトをインストールしてあげたのは、このわたしだぞ〜〜〜。
Sさんは、Tさんが教えてあげたのだと、すっかり勘違いしている。
わたしのことは、まるで忘れてしまっている。
そりゃあね、Tさんとわたし、雰囲気、似てますよ。
ロングヘアで、色白で、痩せてすらっとしてて、美人で…。
「わたし、わたし、わたしが教えてあげたんですよ!」
の言葉が出かかったが、引っ込めた。
まあ、いっかぁ。
その内、恩人はわたしだったと気づかれるだろう。
謙虚な性格というのは、一朝一夕で変わるものではない。