ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★大根を待つ女 

昨日の夕方のことである。
夫の同級生だと言われるHさんという女性の方から電話があった。

   △△君にはいつもお世話になっている。
   たくさん大根をいただいたのでお裾分けしたい。
   これから車で家を出るので、大通りに出て待っていて欲しい。
   3,4分で着くと思う。

全く面識のないHさんだが、ともかく、待たせてはいけないので、早目に家を出た。
大通りで待っていると、ゴミ屋敷の住人、Tさんが近付いてきた。

「久しぶり!そんな所にぼーっと立って何しとるん?」
と声をかけてきた。事情を話すと、
「じゃ、わたしにも大根、分けてもらえる?大根の葉っぱは美味しいからね〜」
と言う。
「じゃ、葉っぱをあげるよ」
「………」
「うそ、うそ、大根もあげるよ」
などと話していたら、一台の軽自動車が止まった。
「△△君の奥さんですか?これ、早目に食べてくださいね」
と言ってレジ袋を渡し、車は去って行った。

中を見ると、葉っぱの付いていない大根が2本。
Tさんが心配そうに
「2本しかないけど、貰えるん?」
と聞くので、いいよ、と言って1本取り出す。
「小さい方でいいよ」
とTさん、殊勝なことを言うので、2本を取り出して大小を比べる。
全く同じ大きさ。
わざわざ調べるんじゃなかった。
Tさん、嬉しそうに、「今晩のおかずができたよ〜」と行って立ち去った。

しかし、あの足の踏み場もない、使われているようには見えない台所で一体、何を作るのだろう。
まあ、大根おろしくらいならできるかも。