★台湾式アイロン
婿殿のお母さん、娘達に付いて我が家に来たのはいいものの、家ですることがない。
「お客さんなんだから、ゆっくりしててください」と言っても、ゆっくりできない。
なにしろ、テレビを見ても何を言っているのかわからない、新聞を開いても何が書いてあるのかわからない。
そうかと言って、ジッとしていられない性分のよう。
それで、わたしも遠慮しないで、出来ることはやってもらうことにした。
先ずは、朝食に納豆をかき混ぜるのがお母さんの日課になった。
そのうち、食器の洗い物もお母さんの仕事になった。
そして、洗濯物を取り入れ、たたむ作業も。
何しろ、早い。
お昼ごはんが済んだら、さっさと洗濯物を取り入れている。
まあ、乾いているからいいのだが、その素早いのに娘などびっくりしている。
普段のお母さんからは想像もできないそうだ。
たたんだ後はアイロンがけだ。
実は、お母さんは、アイロンがけなど、台湾ではしたことがないとのこと。
いつも、お父さんがされていたようだ。
その話を聞いて少し心配だったが、まあ、お母さんに任せることにした。
驚いた。
何と、パジャマにまでアイロンがかけてある。
更には、わたしのジーンズには折り目が入っていた。
真ん中に折り目の付いたジーンズは、お母さんが外出中、アイロンし直して折り目を消した。
そして、3人が帰国後、やっと穿いた。
アイロンがけされたパジャマは、まるで新品のよう。
お母さんを思い出しながら、パジャマの袖に手を通した。