ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★意気消沈


昨日、予約していた本が入ったと図書館から電話があったので、さっそく図書館へ出かけた。
ロッカーにバッグを入れようとしていたら、後ろから「先生!」と声をかけられた。
振り向くと、何と、以前、日本語教室に通って来ていた、中国人研修生のティン君だった。

一年ほど見ない間に、すっかり垢抜けていた。
元々ハンサムで長身なのだから、ヘアスタイルを変えるだけで、即、イケメンになる。
服装も、日本の若い男の子が着ているような流行の服で、黙っていれば日本人の大学生だ。

中に入るのはやめ、彼とロビーに出て、雑談することになった。

聞けば、研修も3年目に入り、このまま行けば、来年の6月には帰国だそうだ。
それで、4月から日本の大学へ入ろうと思っていると言う。
今、日本留学試験の準備中で、仕事が休みの時はいつも図書館にこもっているとのこと。

しばらく彼の大学進学の相談に乗った後、わたしの近況も話した。
娘が台湾人と結婚したので、4月に結婚式に台湾へ行った、というような話をしていたら、それまで、ずっとわたしの顔を見ていたティン君が、視線を顔から服にずらした。
そして、言った。
「先生の服、中国人みたい」

  えっ、一体、どういう意味?
  スタンドカラーのコーデュロイシャツが中国風ってこと?
  紺色っていうのがダサい?

わたしは、とっさに何と返答してよいか、わからなかった。
彼の口調から、褒められているのじゃないのはわかった。
だから、「ありがとう」と言うのはおかしい。
そうかと言って、「そぉーおー?」と言って、しかめ面をするのも中国人の彼に失礼だ。

一秒間の沈黙の後、
「台湾に居たら、わたしは中国人みたいだからね」
と、意味不明、支離滅裂、トンチンカンなことを言ってごまかしておいた(つもり)。

家に帰ってから、全身が映る鏡の前に立ってみた。
う〜〜〜ん。イケてない!
これじゃ本当に中国に居たら、わたしもすっかり中国人のおばちゃんだ。
ティン君が言わんとしたことが、やっと理解できた。