ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★「ローマの休日」

婿殿が夫にお土産だと言って、シャンパンを持参した。
夫は喜び、その夜、婿と二人で飲み干した。

二人がシャンパンを飲んでいるのを見て、わたしが、「ローマの休日」を思い出すねぇ、と言った。
アン王女が、グレゴリー・ペック扮する、アメリカ人記者に連れて行かれたカフェで注文したのがシャンパン。
金欠のG・ペックが注文したのはアイスコーヒー。

その話をすると、お母さんも若い頃、「ローマの休日」を観て、ヘプバーンのファンになったとのこと。
じゃ、今夜は、皆で「ローマの休日」を観ようよ!と提案した。

婿殿にとっては初めての映画。
夫と娘には、かれこれ20年ぐらい前、一時、毎晩のように観ていたわたしに付き合って、何度も観る羽目になった映画でもある。
わたしは、あの頃、何度観ても、同じシーンで涙が出た。
何度も観ている内に、正確なセリフが知りたくなり、スクリプトも買った。
あの頃は、ヘプバーンのセリフが口からスラスラ出るくらい、はまった。

久々の「ローマの休日」である。
字幕は日本語だが、婿殿は英語がわかるので、どうにか楽しめたようだ。
お母さんも、婿殿の中国語の解説を聞きながら、映画に熱中されていた。
娘も5人揃って古い映画を観賞するというアットホームな雰囲気に満足気。
例外なのは夫である。

映画が始まると、アン王女が大使館から脱出する前に既に沈没。
スースー寝息を立てて、心地よい眠りの世界に突入。
そして、最後の記者会見のシーンが始まると、何を思ったか、パッと目を覚ました。
映画が終わるや、夫がしみじみとした口調で言った。

「涙が出たよ。何度観ても、あの場面では涙が出るよ」

相変わらず、調子のいい男だ。

「ずっと寝てたのに、よく言うよ!」とわたし。
「最後だけ観て、どうやったら涙が出るのよ!」と娘。
「いんや、寝とらんかった。ぜ〜んぶ観た!」と子どもみたいに言い返す夫。

3人の低次元な会話も婿殿とお母さんには通じない。
都合のいいこともある。