ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★とんだ濡れ衣だよ

昨日の朝のことである。

起きると、居間のカーペットに血痕と白い羽毛が散乱していた。
寝ている間に飼い猫が鳥を獲って来たのだ。
年に数回はある。

夫は、これはもしかしたらお隣のサトウさんのとこの文鳥じゃなかろうかと心配そうに言った。
一度、飼い猫がサトウさんの空き地にある鳥小屋の前に居たのを見たことがあると言う。
サトウさんの空き地に鳥小屋があるというのを、わたしはその時、初めて知った。
そう言うと、「お前みたいにボーッとして暮らしている人間は居ないっ!」と朝っぱらから怒鳴られた。
言われてみれば、道路を越えた先にサトウさん宅の所有する空き地があり、古い鳥小屋のようなものがあった。
夫は急いで鳥小屋を見に行った。

「中は空だった」と言って、しょんぼりして戻ってきた。
そして、うちの飼い猫が鍵を開けて、扉を開いて獲って来たのだと確信的に言った。
うちの飼い猫は頭がいい、それくらいのことはする、と言い張った。
夫は早速、サトウさん宅へ謝りに行った。
サトウさんの話では、文鳥を7羽、飼っていたそうだ。
我が家の庭に2羽の無残な遺骸があった。
ということは、5羽は逃げたのだ。
「おまえも現場を見に行って来い」と夫が言うので、朝ご飯の準備を中断して、空き地に行った。


下の扉は鍵が錆び付いていて動かなかった。
上の扉の方は引けばスッと鍵が外れた。

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でも、鍵の位置は高さが1メートル以上ある。
これを開けようと思えば、猫が全身を伸ばしてやっと手が届くくらいである。
たとえ、扉をガタガタ揺すって鍵を左にずらせたにしても、次に扉を手前に引いて開けるというのは猫には無理だ。
我が家でも、引き戸は引いて開けるが、ドアは少し開けておいてやれば頭で押して開けることしかできない。
ドアを手前に引いて開けることができるだろうか。
わたしは、どう考えても飼い猫があの扉を開けたとは思えず、サトウさんが鍵をし忘れたか、或いは、誰かが故意に扉を開けた、としか思えなかった。
そして、うちの近くに逃げてきた文鳥2羽は飼い猫に見付かり、餌食になったのだと思った。

家に戻って、わたしはそう夫に話した。
夫も、わたしの推理が正しいのかも、と考えるようになった。
が、ともかく、文鳥7羽を失ったサトウさんに、知らん顔は出来ない。
現実にうちの猫が2羽、殺したのだ。
お詫びの印に酒好きのサトウさんにビールを持って行った。

それにしても、飼い猫の仕業でないのは明らか、猫も、とんだ濡れ衣である。
もし、本当に飼い猫がやったのであれば、本当に頭のいい猫で、テレビ取材でもして欲しいくらいだ。