★三分の一の行方
年末、娘達を空港へ迎えに行き、我が家へ戻る車中でのこと。
娘が言った。
「△△がね、いつも食べ過ぎるから、食事を作るの、三分の一減らして欲しいって。
いっつも日本に来ると、2,3キロ太って帰るでしょ。
30を過ぎたら、体重が落ちにくくなるんだって」。
婿殿も少しは自分の健康を気遣うようになったかと、少し嬉しくなった。
大切な一人娘を譲ったのだもの、そうでなくっちゃいけない。
夕食は既に機内食で済ませているので、家に着いたら軽く飲む程度だ。
おつまみも早速、三分の一減らして少なめにしておこう、などと思っていると、後部座席で婿殿が娘に話しかけた。
「明日のお昼ご飯は何か、おかあさんに訊いてみて」。
おいおい、もう明日の食べ物の心配かよ〜〜〜。
ほんまに太るの気にしてるんかいな。
案の定、三分の一発言はどこへやら、滞在中、婿殿は相変わらずの旺盛な食欲だった。
作った物は殆ど全て残さず食べていた
まあ、何でも美味しいと言って食べてくれるのだから有り難いことではある。
6日間の日本滞在を終えた二人を空港まで見送った。
帰りの車中で夫が言った。
「相変わらず△△はよく食べて、よく飲んだなぁ。
あれで、三分の一、減らしたと言えるんかぁ。
三分の一、増えたんじゃないかぁ…」。