ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★食い物の恨み

今回来られなかった姑が、わたし達夫婦とわたしの親戚に、お土産にレモンケーキを託けられた。
台湾土産といえば、お菓子ならレモンケーキかパイナップルケーキである。
パイナップルケーキは台北、レモンケーキは台中が有名である。
今回、姑はお菓子作りが得意な知り合いにわざわざ頼んで焼いてもらったそうだ。

コーティングしてあるレモンチョコが融けないようにと(何しろ手作り、添加物ゼロ)、暖房の届かない勝手口の板の間にケーキの入っている箱を出しておいた。

日本に着いた日の翌日のことである。
午後3時になった。
わたしがコーヒーを淹れ始めると、婿殿は勝手口に走った。
レモンケーキの入った箱を提げて戻り、テーブルに着いた。
「これが大好きなんだよ」と言って、誰よりも早くレモンケーキを箱から取り出した。
そして、おいしそうに食べ始めた。

確かにおいしいのだ、これが。
スポンジがふわっとしていて甘みも抑えてある。
でも、大きいので一つが300キロカロリーはあるだろうと思うと、わたしなど、丸ごと一つ食べるのは躊躇してしまう。
それでも、我が家ではレモンケーキはよく売れて、二人が帰った後、15個入りのレモンケーキは5つしか残っていなかった。

残ったレモンケーキを食べながら夫が言った。
「△△にはまいるよ。
 自分が持って来たお土産を、自分で開けて率先して食べるんだから。
 △△が一番たくさん食べたんじゃないかぁ」。
わたしは、「まあ、いいじゃない、そんなこと。かわいいじゃないのよ〜」
と言って、婿殿をかばった。
だが、本当のことを言うと、夫は婿殿の不作法より、婿殿にたくさん食べられてしまったことを恨みに思っているのではないか、と密かに勘ぐったのであった。