ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★静かな人々

神木ツアー その3

ツアーは、台中の婿殿の実家でお正月を過ごし、台北へ戻った翌日のことだった。
台北もずっと雨続きだったというのはテレビのニュースで知っていた。
ツアー当日も台北、宜蘭懸ともに100%雨になると予報していた。
わたしは、旅行会社から雨のためツアーは取り止めると言ってくるのではないかと、ひそかに期待していた。
こちらからキャンセルを申し出れば、払い込んだお金は戻ってこない。
婿殿は間違ってもキャンセルはしないだろう。
しかし、旅行会社はツアーを取り止める様子はなかった。

当日、集合場所に着いたら、既に大勢の人が集まっていた。
バスも4台、並んでいた。
参加者は皆、寡黙だった。
雨が降る中、寒い山へ出かけるのだ。
気分が晴れないのはわかる、弾んでいないのもしようがない、と思った。

わたし達の乗った中型バスは満席だった。
婿殿の話では、キャンセルした人は皆無だったらしい。

バスの中も静かだった。
お喋りする人もなく、皆、熱心にツアーガイドの話を聞いていた。
ただ一人、夫が、ガイドが何を話しているのか全然わからないので、しきりにわたしの気を引こうと、つまらんことを口にしていたくらい。

食事中も静かだった。
台湾のレストランの騒々しさが懐かしいくらいに。

神木を訪ね歩く2時間も、皆、物静かに歩いていた。
子ども達も歩きたくないなどと言って、ぐずったりしない。
皆、せっせと歩いていた。


明るくて、騒々しくて、お喋りな台湾人、というわたしの勝手な思い込みが消えた一日だった。

家に帰ってから、その話を娘達にした。
すると、娘が、
「正月早々、雨が降るのに神木を観に行こうっていうんだから、まあ、少数派よね、台湾では」
と言った。

そっかぁ、やっぱりそうだったんだぁ。