ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★おもしろくない…

「おい、今度、これ買うぞーーー」
と言って、夫がカタログを見せた。
カメラのレンズだというのはわかる。

「何よ、これ」
「望遠レンズだろうがぁ」
「望遠レンズなら、去年か一昨年、買ったんじゃなかった?」
「あれよりずっと性能がええやつよー」
「どれくらいするん?」
「定価は14万ちょっとだけど、11万7000円でええらしい。
 なにしろ、僕はお得意さんだからなーー」
と、得意気に答える。
既にお店の人とは話をつけている様子。

定年退職後、夫が趣味を見つけたのは嬉しい。
写真を撮りにアチコチ出かけ、家の中でゴロゴロしていないのも有り難い。
だから、鳥を撮るのに高価な望遠レンズが必要だと言われれば、むげに反対もできない。
でも、12万円はちょっと高すぎるんじゃないのと思う。
口には出さないが、表情には出る。
思わずふくれっ面になったはずだ。
でも、夫は気づかなかった振りをして、電話台に向かった。
そして、カメラ屋へ注文の電話をした。
思いっきり声が弾んでいる。

  ムムム…。
  おもしろくない…。
  むしゃくしゃする。

皮肉のつもりでわたしは言った。
「やっぱり写真って腕よりレンズなんだろうねぇ」と。
しかし、夫にこの嫌みは全く通じなかった。
「当ったり前よーーー」
と、元気のいい返事が戻ってきた。