ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★樟脳油事件(2)

ガ〜〜〜ン!
どうも、これは油は油でも食用油じゃなく、害虫駆除剤か何かじゃないのか。
やっとおかしいと気づいた。
それでも、もしかして食用にも使われているのでは、と儚い望みを抱いてパソコンを立ち上げ、「樟脳油」をネット検索した。
実に諦めの悪いわたしである。
しかし、読み進めるうちに、絶対に口にできそうにはない代物だと確信しただけだった。

スペアリブを戸外に置いてある生ゴミ専用ボックスにガバガバと捨てた。
そして、台所に戻ると、窓という窓を全開した。
ツンとする強烈な匂いが家中に充満していたのだ。
次に、バットと箸など、樟脳油に触れた物は全て丁寧に洗った。

しばらくして夫が戻ってきた。
開口一番、「何だ、この匂いは」と言うので、失敗談を話して聞かせた。
封を開けたら直ぐにおかしいと思うのが普通だろうがっ!と叱られると思っていた。
なのに、スペアリブを食べ損ねたのは残念だが、救急車のお世話にならずに済んで良かったじゃないかと言って慰めてくれた。
あまりに意外なセリフだったので気が抜けた。

晩ご飯は、冷蔵庫に残っていた鶏ミンチ100グラムと豆腐半丁で豆腐ハンバーグを作った。
バーベキューよりよっぽど健康的よねぇ、と負け惜しみを言いながら、樟脳の匂いに包まれて夕食を終えた。
そして、娘に電話して、樟脳油事件を話して聞かせた。
母親の間抜けぶりに今さら驚くでもなく、ふんふんと言って聞いていた。
最後まで話し終えると、娘が言った。

「スペアリブがもったいなかったねぇ」。