ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★押しても駄目なら

 ヨーロッパ3カ国周遊旅行(4)

日本のトイレで水を流すのに戸惑うことは殆どない。
せいぜいボタンやレバーを探すのに時間がかかるくらいだ。
ところが、一歩日本を出ると、意外に面食らうことがあるものだ。

かつてイタリアを旅行した時、どうやって水を流したらいいかわからなくて、トイレから出られなくなったことがある。
長い行列が出来ているのがわかっているので、すごく焦ったが、結局、流さないままトイレから出た。
あれ以来、トイレを使う前には、必ず流し方を確認してから用足しするようになった。

今回は夫が慌てることになった。

旅行初日のことである。
夜の8時ごろにパリのホテルに到着した。
夫はずっと大の方を我慢していたらしく、ホテルに着くやいなやトイレに駆け込んだ。
そして、間もなくして夫がわたしを呼んだ。
どうやって流すんかー、と叫んでいる。
わたしは夫の排泄物を見たくないので、よー探しんさいよー、天井か床にでもあるんじゃなーい、といい加減な返答をする。
ツマミはあるけど、押しても動かん、と焦り気味の夫の声が聞こえる。
全くもう情けない…とブツブツ言いながらトイレのドアを開けた。
便器から目をそむけ(便器の蓋をしてから呼ぶのが礼儀だろうっ)、タンクの上のツマミに手をやる。
確かに押してもビクともしない。
これじゃないのだろうか、と辺りを探したが、それらしきものは見当たらない。
おかしい…。
そして、やっと気づいた。
昔から、押しても駄目なら引いてみな、って言うではないか。
ツマミをつまんで思いっきり引っ張った。
水が勢いよく(でもなかったが)流れ出した。

夫に説教しておいた。
外国のトイレでは、必ず水の流し方を確認してから用を足すべしと。

パリのチェイルリー公園で羨ましげに彫像を見つめる人