★鍵はどこ?
ヨーロッパ3カ国周遊旅行(7)
スイス観光の目的は、ユングフラウヨッホとマッターホルンだった。
そのため、インターラーケンが起点となり、そこに2連泊した。
パリとサン・マロのホテルが狭かっただけに、インターラーケンのホテルは広々としているだけで嬉しかった。
ただ、古いことは古かった。
なにしろ、ルームキーがカードキーではなく、部屋番号が刻まれたプラスティック製の札の付いた、昔ながらの鍵である。
鍵穴に鍵を突っ込んで開ける、あの鍵である。
今時、こんな鍵を使っているホテルがあるのかと、ちょっとびっくりした。
一泊した翌朝のことである。
食事に出ようと、部屋の鍵を探したが見つからない。
二人で部屋の隅から隅まで探したが、出て来ない。
段々、夫の機嫌が悪くなる。
わたしは、一体どこへやったんだろうかと昨夜からのことを思い起こした。
そして、ハッと気づいた。
もしかして…と思って、ドアを開けると、鍵が鍵穴に入ったまま、ぶら下がっていた。
実は、前夜、部屋に入る直前に、わたしは添乗員とやり合っていた。
自分の過失を決して認めない彼女にカッとなってしまったのだ。
普段、謙虚で無口で争いの嫌いな忍耐強い(ここまで書くと嘘っぽい)わたしが、あのような態度に出たなど、今もって信じられない。
諍いの後、きっと興奮していたのだろう。
だからこそ、鍵を開け、そのまま鍵を抜かないで部屋に入ったのだ。
いやーーー、それにしても、何も起こらなくて良かった。
スイスがいっぺんに好きになった。
宿泊したホテルの近くで親しくなった猫(インターラーケンで)
カメラ目線で、なかなかの威厳
カメラ目線で、なかなかの威厳