ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★隠語は「脂肪」

小姑は日本語が殆どわからない。
姑も簡単な単語を少し知っているくらいで、会話はできない。
婿殿も、聴き取りは少しずつよくなっているようだが、話す方はなかなか進歩しない。

わたし達親子3人の間では、誰の話をしているか陳家の人々に知られたくない時は、隠語を使う。
姑は「おかあさん」ではなく、「しゅうとめ」と言い、小姑は「おねえさん」ではなく、「ゆいさん」
と言う。
小姑が、夏川結衣に似ているからそうなった。
婿殿は、これまでずっと彼の名前だけで、隠語はなかった。
でも、あった方が便利なことがある。
とはいえ、彼の知っている単語が増えたので、隠語を考えるにも、簡単な日本語では見破られる。
そこで、思いついたのが「脂肪」。
思いついたのは娘である。
わたしは、万が一バレた時に失礼じゃないかと思ったが、即決した。

小姑の一人娘、シャオホンは、日本に来る前に、わたしのことを「阿ma」、夫のことを「阿公」と呼ぶ
ように言われていたらしい。
初めて「阿ma」と呼ばれたときは、相当にショックだった。
なにしろ、「阿ma」は、台湾語で「おばあちゃん」、「阿公」は「おじいちゃん」の意味である。
  わたしゃ、あんたのおばあちゃんじゃないよ。
  一体、わたしのどこを突っついたら、おばあちゃんって言葉が出てくるのよ。
  どう見たって、あんたのおかあさんでしょ。
娘に、「阿maは止めて欲しいよね」と言ったら、
「二人の関係を考えたら、どうしたって、阿ma以外ないじゃない」
と冷たくあしらわれた。

でも、簡単に諦めるわたしではない。
シャオホンにわたしの名前の中国語読みを教えた。
彼女は、それが気に入ったようで、「阿ma」は姑だけになった。