★気にして欲しい
娘たちが立ち去った翌日、野菜作りが得意な知り合いのFさんが、ゴーヤとモロヘイヤを持ってきてく
ださった。
知り合いといっても、Fさんは、娘とは面識がない。
Fさん:この前、ご主人と一緒におられたのは、ユリさんの妹さん?
わたし:(えっ、わたし、妹はいないんだけど…あ、そうか)
もしかして、婿のお姉さんのこと?
娘が婿の一族を連れて帰って来てたんですよ。
色が黒くて小柄でやせっぽっちの人でしょ?
Fさん:そうだった?
美形だから、ユリさんの妹さんかなって思ったんだけど…。
わたし:(小姑は美形の範囲内かなぁ…あ、そうか)
もしかして、△子のこと?
うちの娘だったら、まだ30ですよ。
Fさん:ああ、それくらいだったかも。
わたし:まっ、それじゃ、妹はないでしょ。
△子が可哀想すぎるじゃないですか!
Fさん:まあ、姉妹に間違われるくらい、ユリさんが若く見えるってことですよ。
ミエミエのおべっかを使って帰って行った。
友達の家を5人様御一行を連れて訪問してから一週間後、その友達に出会った。
彼女が言った。
「△子ちゃん、相変わらず低い声だったね。
子どもの頃からずっと低音だったもんね。
だけど、色が黒くなったんじゃない?
やっぱり、台湾で暮らしてたら、どうしても色が黒くなるよねぇ」
何とも哀れな娘。
老けて見られるやら、色が黒くなったと言われやら…。
もっとも、そう言われたって、本人は全然、気にしないだろうけどね。