スカーレット・オハラ
今週のお題「あこがれのヒーロー、ヒロイン」
わたしにとってのあこがれのヒロインと言えば、やはりスカーレット・オハラである。
スカーレットの波乱万丈の人生、演じたヴィヴィアン・リーの類なき美貌に圧倒された。
「風と共に去りぬ」を初めて観たのは高校3年の秋だった。
いっしょに観たのは、当時付き合っていたK君の友達のW君。
どうして相手がK君でなく、その友達だったのか。
W君の誘いを断らなかったのは、彼にも好意を寄せていたせいだろう。
4時間に近い長い映画だったが、少しも長いと感じさせなかった。
隣にW君がいるのを忘れるほどに映画に熱中した。
映画が終わり、席を立って、通路に出たとき、コンタクトレンズが落ちた。
長時間スクリーンを見つめていたので目が乾燥し、まばたきした瞬間、レンズが外れたのだ。
出口へ観客が流れているのだから、その流れを止めるわけにはいかない。
泣く泣く探すのを諦めた。
高価なコンタクトを失くしたことで気持ちが凹んだ。
会話も弾まなかった。
気の小さいわたしにはK君を裏切った報いとしか思えなかった。
凡庸な自分とは似ても似つかぬスカーレット・オハラにあこがれ、彼女のように強くたくましく生きたいと願った若き日々。
でも、彼女の気性の激しさ、自分勝手な性格だけは決してあこがれではなく、まさに現実の自分そのものだった。
あの頃気づかなかっただけで。
結婚してからもテレビで「風と共に去りぬ」が放映されると、欠かさずに観る。
その度に、あの日のさんざんなデートを思い出すのである。