ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★悪い妻の存在価値 


2年前に他界された米原万里さんの最後のエッセイ集『心臓に毛が生えている理由』を読んだ。
彼女のエッセイは、読むたびに自分がいかに狭い社会で生きているか気づかされる。
彼女は物の観方が広く、深く、独特なのを再認識する。
そして、あらためて自分の凡庸さを知る。

共産党の幹部だった父親に触れたエッセイはかつて読んだことがある。
母親については、このエッセイ集で初めてどんな人だったのかを知った。

夫を失った母の姿を傍で眺めながら、米原さんは
「良き夫に恵まれると、失った時の不幸が大きく、悪い夫だと、無くなった時の開放感が大きい」という諺を思い浮かべる。
米原さんの母は良き夫に恵まれた人だった。

ところで、米原さんは「諺」と書いていたが、こんな諺があったのだろうか。
聞いたことがない。
もしかしたら、ロシアかチェコの諺だろうか。
まあ、どこの国の諺であれ、この諺に異を唱える人はいないだろう。

夫にこの諺を知っているかと尋ねると、夫は言った。

知らないけど、なかなか含蓄があるなぁ。
逆にこういうのはどう?
良き妻に恵まれると、失った時の不幸が大きく、悪い妻でも、無くなった時の不幸は大きい、っていうのは。

う〜〜〜ん、うまいっ!さすが、わたしの夫!!