ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★『ハズキさんのこと』/川上弘美


                  〜 2007/7/21 〜

「六十だったら、最後と思って心おきなく恋に走るでしょう。四十のころは、これまた今が最後と思って恋に走ったでしょ。でも、五十になると、四十が最後なんかじゃなかったこともわかるし、かといってほんとの最後まではまだまだ届かないこともわかるし、さ」

これは、『森』で50歳のわたしが幼なじみの祐一に語るセリフだ。

<このリアリティは何なんだ!>

釘付けになった。
次の行に進めなかった。

川上弘美は、その外見でもスラリとした肢体と艶やかなストレートのロングヘアでわたしを魅了するが(別にレズビアンではない)、彼女の恋愛小説は男女の微妙な距離感を巧みに描き、いつも知らず知らず物語に引き込まれてしまう。

『森』は、法事で帰省したわたしが、25年ぶりに同い年の祐一と出会い、森を散歩する話だ。
小学生のころから祐一を好きだったわたし。
ふざけてキスした後で言ったのが冒頭のセリフだ。
30歳の時に読んでも、わからない。
50を過ぎて、初めて「うまいこと言うなぁ」と思える。

『森』を含む11篇の掌編小説と12篇のエッセイじみた掌編小説。
短いから劇的なストーリーがあるわけでもない。
ありふれた日常を描いている。
現実離れしたものもある。
それでも、心は上下左右に、ある時は一回転するくらい揺さぶられる。

<川上さんって、本当に主婦業・母親業もしているの?>

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最近は恋愛小説をあまり読まなくなりました。
ミステリーが増えました。
これもオバサン街道まっしぐらの表れかいな。