ポスト団塊世代のお気楽な日々

初老に近いおばさんが自由気ままに書き綴る自分勝手なひとり言

★一番のご馳走


         〜 2007/10/23 〜

外国からのお客様をもてなすのに、一番、気分を遣うのは食事である。
言葉の問題も大変だが、やはり、主婦にとっては、何をご馳走すればいいかが最大の悩みとなる。

せっかくだからと、日本料理でもてなそうと張り切っても、食べてもらえなくてガッカリすることが多い。
手間をかけて作っても、酸っぱいもの、甘辛く煮たものは、たいてい残ってしまう。
その点、簡単に料理できる揚げ物などはどこの国の人の口にも合う。
お刺身などは、どの国の出身かというよりも人による。
自国で食べていた人は、日本のお刺身に舌鼓を打つ。

先週来られた台湾からのお客様、李・陳夫妻の場合、李さんは気を遣って、わたしが料理した物は残さず食べられた。
ご主人の陳さんは、最初のうちは、出された物を黙々と食べておられたが、お味噌汁は3度目の食事ではっきり断られた。
二度はしかたなく食べられたのだろう。 (お気の毒に)
最後の日の朝ごはんは、パン食にした。

娘の彼氏も、娘が作るお味噌汁に慣れるまでにずいぶん時間がかかったそうだ。
やはり、彼にとっては、母親の作る湯(タン)が最高なのだ。

陳さんの箸が進まないのを見て、わたしはひょいと思い出した。
娘の彼氏がお盆に瓶詰めの台湾の漬物をお土産に持参したのだが、わたしと夫には食べられないので(なにしろ不味い!)冷蔵庫に入れたままのがあったのを。
唐辛子の漬物である。


これを冷蔵庫の奥から取り出して、陳さんに出してあげた。
それを見るなり、陳さん、
「不錯(プゥツオウ)、不錯」(悪くないねぇ)
と言いながら、唐辛子を一本、ご飯の上に乗せた。
大袈裟でなく、喜色満面にあふれていた。

どうも、陳さんにとっては、唐辛子の漬物が一番のご馳走だったようだ。

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あれから後に娘が李夫妻のお宅を訪問した際、どうしてお味噌汁が好きじゃないのかとわたしに替わって陳さんに訊いてくれたそうです。
一言、塩辛いから、とのことでした。
中華料理では食事の最後にスープ(湯・タン)が出ますが、これはご飯に添えるわけでなく、単独で飲みます。
だから、醤湯(ジャンタン)もすごく薄味です。(醤湯は味噌汁のことです)
そういえば、最近もブログで姑の作った醤湯を紹介しました。
日本の味噌汁とは似て非なるものでした。